読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

【書評】うちの子になりなよ/古泉智浩

エスプリにようこそ

その子はなぜ“自分の子ども”なのか

ごぶさたしてます、レナ(@esp_rit)と申します。

本日は(も)本のご紹介。

うちの子になりなよ (ある漫画家の里親入門)

うちの子になりなよ (ある漫画家の里親入門)

 

まんが家の古泉智浩さんの本です。歌人枡野浩一さんとやっている『本と雑談ラジオ』はきいているのですが、著書ははじめて拝見しました。

 

 

里親<子育て日記

里親についてしっかり知りたいという目的であれば、そこまでおすすめはしません。理由は関連するページがそう多くないから。しかし男性視点の里親本はあまりみかけませんし、子育てのお話が単純におもしろかわいいので、実際のところ楽しく読めます。

 

構成は、前半が子育て日記、後半が『里親入門』として、不妊治療や里親についてまとまっています。個人的には、特に後半を興味深く読みました。

 

子どもをもちたいなら、急げ! 

失われた時間とお金に愕然として、不妊治療は中止しました。(中略)不妊治療にはいい思い出が皆無で、すべて徒労であったとしか思えません。女性は特に体への負担が大きく、妻もそのために仕事を辞めました。

 

高齢の不妊治療で、一部成功例があり、それを真に受ける風潮がありますが、30代後半の不妊治療はかなり厳しく、成功例以上に諦めて子どものいない人生の受け入れを余儀なくされる人が多数いることをもっとアナウンスすべきです。

 

子どもが持ちたくても持てない人がいる(中略)、たしかにそういう人にとっては迷惑だと思いますが、あまりに子どもや子育ての魅力、家族が増えることの喜びなど、そういった情報が少ないのではないでしょうか。(中略)とにかく僕のように普通の性交渉による子作りに出遅れて不妊治療に出遅れて里親制度にも出遅れないようにして欲しいです。

 

古泉智浩さんは、自身の経験から「子どもをもちたいのであれば、20代に1人は産んでおいたほうがいい」。不妊治療中、「セックスはしたいけれど、子どもは持ちたくない」という若い頃の行為について、罰を受けているようだったと書いています。

 

持ちたくても持てないんだよ!とか、そもそも持ちたくない!とかで、イライラしてしまうひともいると思います。こういう本や意見は、そういうひとたちへの当て付けではありません。あくまでも、子どもを持ちたいと思っているひとたちの、背中を押したいという気持ちです。だと思う。

 

この記事は「子どもがいない生き方」についてあまり書いていないのですが、お時間があればどうぞ。

 

エスプリにようこそ

血縁の子、そうではない子

古泉さんは、実子にこんな感情を抱いたそうです(別居中の実子もいる)。

 

顔立ちが僕が子どもの頃の顔写真にそっくりで、紛れもなく自分の子どもであることが瞬時に理解できました。これが血縁かと自分の芯の部分に響くものがあり、細胞のひとつひとつが震えました。

 

血のつながりには、理屈ぬきにした圧倒的な感覚があるのかもしれません。そのためなのか、現在の日本では血のつながらない子どもを育てることに抵抗を覚えるひとが少なくありません。

 

その感覚は、文化や習慣による影響も大きいのでしょう。もし「自分でうんだ子どもを育てている家庭」と「血縁のない子どもを育てている家庭」が同程度存在する社会ならば、後者に対する抵抗感はまちがいなく減ります。

 

子育てはしんどいから血のつながりが重要?

「いやいやそうじゃない。もっとシンプルに考えよう。子育てというのは大変なもの。だから血がつながっていないとやってられないんだ」

 

という感覚かもしれません。それはこう考えることもできます。子どもにものすごく腹が立ったとき「血がつながってないのだから、気が合わないのも仕方がない」。子どもが犯罪を起こした時だって同じです。保護者として責任は取るにしても、「子育ての仕方だけが悪かったんじゃない」。そうやって怒りや悲しみを逃がせるのです。ネガティブなんだかポジティブなんだか。

 

親子とはなんなのか

血のつながりだけが、親子や家族をつくるものではありません。親にとって、特に母親にとって、血を分けた子どもは特別かもしれません。しかし人間(親子)関係をつくるのに重要なことは手間です。

 

お腹ではぐぐみ生むという行為と、実際に育てていく行為に優劣はありません。どちらが欠けても、子は存在しえないからです。子どもにとって大切なのは、愛されること。生みの親ができないのであれば、育ての親が関わればいい。そう単純でないのはわかりますが、大人の感情や理屈より子どもの状態が優先されてほしい。

 

大人ではなく、子どもの立場で

わたしは基本的に、常に子ども側から考えるのが妥当だと思います。子ども自身は、どこで成長していくのが幸せか。「血のつながった両親が、子どものことをきちんと考え、ゆたかで適切な愛情があり、経済面でも安心できる家庭で育つ」のがベストでしょう。あるいは多少、経済的に不安でも「実の親から愛情や理解、手間暇をたっぷり与えてもら」えば幸せです。その可能性が高い。

 

そうではない場合、子どもにとって重要なことはなんでしょう。血のつながりなのか、愛情をかけられ、大事に育てられることか。児童養護施設のような場所でも、愛情をかけられて大事に育てられていると思います。しかし職員の数や負担、子どもの数を考えると、環境としては、施設ではなく家庭のような場所で育つほうがよさそうだとわたしは考えています。

 

課題はあるにせよ、今以上に里親や類する制度が認知、行使されるようになるといいなぁ。

 

こんな本も読んでます

広告を非表示にする