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【書評】旅のラゴス/筒井康隆

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ごぶさたしてます、レナ(@esp_rit)と申します。

本日は本のご紹介。

『旅のラゴス』の評判、えらい高い

旅のラゴス (新潮文庫)

旅のラゴス (新潮文庫)

 

 

ネットでちょっと検索すると、この本の評判はかなりのもの。Amazonのレビューには賛否ありますけど、率直にいって、評判の高さに期待度あげて読むと肩透かしをくらうかもしれません。個人的には好きですけども。

 

ラゴスの旅』じゃなくて『旅のラゴス

主人公のラゴスは最後まで旅をします。人生は旅だとかいわれますが、彼は比喩的な意味でなく、根っから旅の人。ラゴスから旅をはぎとったら、それはラゴスではない。

 

何年も同じ場所にとどまることはあっても、役割をはたしたら(あるいは区切りがついたら)、また旅にでます。ラゴスは旅そのものなのでしょう。だから、ラゴスの旅じゃなくて『旅のラゴス 』(いや『ラゴスの旅』だと「まんまか!」「ひねりなさすぎ」ということだと思いますが)。

 

旅人とは魅力的な存在である

最初は『おれは都会育ちだから』とかいって、いいとこの俺様的なやつかと思ったのですが、善良で率直な男だし、旅(経験)を重ねることで知的にも円熟にもなっていきます。見目もなかなかなのでしょう。ラゴスは基本的にどこでも受け入れられ、特に女性には愛されます。まぁ旅の男というのは魅力的ですしね。

 

モチーフがいっぱい

物語のなかで、次男ラゴスは知的だけれど自由で愛されキャラ、長男は堅物という描かれ方をしています。ちょっと典型的に思えましたし、長い旅から戻ったラゴスは両親に歓迎されます。息子が無事だった喜びとともに、父親は長男と不仲だったのでことのほか。これはカインとアベル風だし、いいとこの坊っちゃんが旅にでて成長し、というのは『シッダールタ』と重なりました。

 

シッダールタ (新潮文庫)

シッダールタ (新潮文庫)

 

 

結末が! 

たまにありますよね。あと数ページしかないけど、どうなるの?という本。『旅のラゴス 』もそんな作品です。気づいたら解説のページに突入してびっくりしました。「まだそれなりにページ数はある」と思っていたら、それ全部解説と既刊本紹介のページ。だまされた(笑)。結末については、ぜひご自身でお読みください。“旅のラゴス 結末”でぐぐったらもったいないですよ(笑)。

 

SF? いやファンタジーっぽい

旅のラゴス 』はれっきとしたSFなのでしょうが、わたしにとってはファンタジーや民話でした。ラゴスは実在しませんが、伝記のようであり、たしかにSFのにおいはするものの、どちらかというと剣や魔法や龍の似合う世界観(でてきませんけどね)。これはわたしのなかのSFが赤ちゃんなせいです。

 

SFになじみのないひとは、旅のラゴス 』をSFだと思って読まないほうがよいと思います。SFに苦手意識があるとか、SF歴の浅いひと、『アルケミスト』やロードムービー好きなひとにはおすすめできそう。印象が似ています。

 

アルケミスト 夢を旅した少年 (角川文庫)

アルケミスト 夢を旅した少年 (角川文庫)

 

 

そういえば以前読んだ『商人と錬金術師の門』も、宇宙ではなくエキゾチシズムあふれた作品でした。『ここがウィネトカなら、きみはジュディ』という表題作をふくめたアンソロジーの1本ですが、『ここがウィネトカなら、きみはジュディ』というタイトル、ラブリーすぎる(関係ない)。

 

 

ランキング1位は『幼年期の終わり』。異論は認める

 

個人的SFベストはいまだに『幼年期の終わり』です。SF赤ちゃんのわたしだから異論はどしどし認める。単純に小説としても好きですが、主な理由は、読みやすいのにSFっぽい。なおかつわたしの望む世界が描かれているから。はやくこういう世界になるといいなぁ。

 

 わたしは池田真紀子さんの翻訳でよみました。

幼年期の終わり (光文社古典新訳文庫)

幼年期の終わり (光文社古典新訳文庫)

 

 

 過去の書評。本はそれなりに読むのに、意外と残してなかった。

 

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