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【書評】スクラップ・アンド・ビルド/羽田圭介

エスプリにようこそ

ごぶさたしてます、レナ(@esp_rit)と申します。
本日は本のご紹介。

スクラップ・アンド・ビルド

スクラップ・アンド・ビルド

 

そもそも羽田圭介さんが好き

とはいっても、彼のなにかを知っているわけではなく、クイズ番組や雑誌のコラムなどで「おもしろい方だなぁ」「好きだなぁ」と感じているお茶の間ファンですが。

 

物語は淡白。でもさくさく読ませる

あらすじ

「早う死にたか」
毎日のようにぼやく祖父の願いをかなえてあげようと、ともに暮らす孫の健斗は、ある計画を思いつく。日々の筋トレ、転職活動。肉体も生活も再構築中の青年の心は、衰えゆく生の隣で次第に変化して…。閉塞感の中に可笑しみ漂う、新しい家族小説の誕生!第153回芥川賞受賞作。

 

ジェットコースター系おもしろストーリー、ではありませんが、文章のノリ、ツッコミが小気味よく、羽田さんの飄々とした雰囲気が主人公と重なって、何度も笑ってしまいました。“素人は引っこんでろ!”とか、彼の声で脳内再生されます。

 

周囲の人間の面倒くささがじわる

物語は、主人公の健斗と祖父を中心に、健斗視点で語られます。その健斗と関わるのは主に3人。祖父、彼女、母親。そのうち祖父と彼女が面倒くさい。祖父はなにかにつけ死にたいなどというし、彼女もこんなふうにいいます。

 

「どうせ私なんか、ブスだもん」(中略)

女性ホルモンが多いのか、嫉妬深く卑屈だった。

 

たまにいますね、こういうひと。もちろんいいところ、メリット、縁などあるから関係を持つわけですが、現実、こういうひとにはどうするのがいいのでしょう。達観して心ないフォローを与えるか、完全スルーして無意味な発言だと気づくのをひたすら待つか。*1

 

ちなみにフォローすると助長させそうで、スルーしても気づかいないことがほとんどだと感じているので、自然と気づかせる対処法があれば、ぜひマスターしたいです。

 

筋トレしているひとは読むといいよ

世の中は2つにわけられます。筋トレしている(したことがある)ひとと、そうではないひと。そらそうだということじゃなくて、筋トラーには筋トラー同士、通じ合うものがあるんだそうです。わたしはやっていないので聞き及んだだけですが、筋トレをされている方は頷いているはず。どうだろう。

 

健斗は、心身ともに弱っていく甘えた祖父を反面教師にし、肉体と精神を筋トレによる負荷で鍛えていきます。健斗にとっては、彼女も甘えた側。ふくよかな体型が問題なのではなく、「自分はどうせデブだから」と言い訳して、努力もせず肯定してもらいたいところが問題です。

 

悪くはないが、恵まれてもいない

健斗は28歳の健康な男性。属性としては悪くありません。日本には28歳の健康な男性なんて何万人もいますが、それでもこれはいいカードです。でも無職。順風満帆というわけではありません。

 

しかし状況を嘆くことなく、自分にできることを積み重ねていきます。それが変化をもたらし、物語はじんわりと閉じていきます。でもよかったよかったと終わるわけではありません。現実と同じ、状況が変化していくだけなのです。

 

最初から最後まで清涼感はありませんが、引っかかるところがあれば手にとってみてください。羽田さんが好きか、筋トレしてるか、卑屈な人間がまわりにいるなら外さないですよ。

 

 過去にはこんな本を読んだよ

ネットで高評価。すっごく響いたわけじゃないですけどおもしろかったです。

 

女性ホルモンゴリゴリ小説。おもしろいけど読むひとをかなり選ぶ。

 

*1:あるいは直接、「そうかもしれないしそうじゃないかもしれないけどそれをいってなんの得になるの?」という。でもそれはたいてい怒られる。どうすべきですかねぇ。どうしたい、どうさせたいかで対処すべきか。

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