
芝浦屠場にいってきた
ごぶさたしてます、レナ(@esp_rit)です。
先日、品川の『食肉市場・芝浦と場(屠畜)』の見学にいってきました。
※場内の撮影は禁止です。記事中にショッキングな写真はありません。
事前の反応
「今度、屠畜の見学にいくんだ!」
「いいね。行ってみたい」「みてみたい」(ポジティブ)
「え~こわい」「みたくない。気持ち悪い」(ネガティブ)
「……」(意味がよくわからない・どう反応していいかわからない)
おおよそこんな反応でした。
日本には「食は命をいただく」という認識(文化)がありますし、『ブタがいた教室』などの映画、書籍などもあるので、若い世代を中心に好意的なひとが多かったです。
屠畜というと差別の話はよくきかれますが、わたしや友人たちにとっては、過去の話じゃないの?という印象。働いているひとにとっては、あるいは地域、年代による差もあるでしょうが、差別がなくなったら困るひともどこかにいるかもしれません。
屠畜はどこでやってるの?
東京都中央卸売市場食肉市場です(東京は)。
品川駅港南口から3分くらい。ここは市場でもあり、屠場でもありますが、こんな都心のエキチカに屠場があることは意外と知られていません。そんなところにあるの?みたいなことはいわれました。
余談ですが、品川駅構内に生ハム食べ放題をやっているお店があります。見学にいった日も並んでました。一度いってみたいなぁ。
なぜ見学に行ったの?
魚や野菜、果物ならば皮をむいたり、内臓をとったりと自分で加工できますが、肉はできません。やろうと思ったこともありません。でも工程にはかなり前から興味がありました。
わたしのまわりだけかもしれませんが、屠畜に関心のあるひとはけっこういます。そんな話をしていたら「見学にいけるのだけど、どうですか」とお誘いいただきました。
ぶっちゃけ、どうだった?
行ってよかったです!!
語弊をおそれずにいえばおもしろかったですし、目の当たりにして心が動かされました。
実際の流れ
芝浦屠場では牛と豚の解体をおこなっています。今回は両方を見学させていただきました。ざっくりいうとこんな感じで進みます。
- 動物を昏倒させる
- 放血させる
- 内蔵を取る
- 皮を取る
- 枝肉にする
現場は、説明・案内してくれる方を含め、10名前後でまわります。見学者用の通路はありませんから、実際に作業している方々の間をぬって歩きました。THE 解体作業のすぐ脇ですから、レーンに吊るされていく動物のフレッシュな血液が飛び散ることもあります。白衣やヘルメット、長靴を借りているので問題ありませんが、多少の血液はほどんどの見学者がくらいました(事前に説明を受けた)。
最初に豚、次に牛の解体を見学します(流れはだいたい同じ)。まずは豚の放血。ずさっと一撃で豚を掻っ切るわけですが、その手際のあざやかさ。めっちゃかっこよかったです。表現にまゆをひそめる方もおられるでしょうが、そう思ってしまったのだから仕方がない。かわいそうとか、残酷とか、けしからんとか、怖いとか、つらいとか、いわゆるネガティブな感情はわきません。これがプロというものか…! という感じ。
お肉化の手前で待機している豚たちも、もちろんみました。かわいい。もともと動物好きなほうです。当事者でないのでわかりませんが、死を嘆いているとか怖がっている様子はありません。たまにギャフギャフいっていましたが、せまいところで待機するのがいやなのかも、と思いました。わたしなら狭い場所はいやだが。

目の当たりにすると、感動する
わたしは牛を昏倒させたり、豚を放血したりできません。体格や腕力、技術はもちろん、鶏をしめるのですら、そうとう追い込まれなければやれません。追い込まれてもやれるかわかりません。自分でやるのは怖い。どうしていいかわからない。
自分には到底できないことだらけの現場に、少しだけですが実際に入り込むと、起こる情動がまったく違います。牛も豚も、生きているときはかわいい。でも頭や手足を切り落とされたり、内臓や皮を処理されていく姿に対して、感傷はあふれません。
どこかで、かわいそうみたいな感情に蓋をした可能性もありますが、こういうふうにわたしの食べている肉はできている。本当に命なのだ。スーパーやお肉屋さんにいけば、気軽に、安価なお肉が手にはいるけど、それはものすごい数の命と労力の成果なのだ。そしてわたしはあきらかに人間だ。めちゃめちゃ当たり前。なのに、実感に欠けていたと気づいたのです。
屠畜見学したい。どうすればいい?
芝浦屠場の見学は通常できません。自由に見学できるのは『お肉の情報館』のみ。この施設は予約不要かつ無料です。
芝浦屠場には見学ルートがないですし、衛生、安全、スタッフの労力など考えるとしょっちゅう見学者を受け入れるのは、まぁ無理でしょう。しかし興味、関心があれば誰でも見学にいける場所になればよいと思いました。むずかしいのはわかりますが、なんというか、もったいない。プロ意識があり、すごくかっこいいのです。
屠場男子はけっこういいぞ
豚のラインには女性も少数いますが、職員のほとんどは男性。みなさんたくましい腕をされてました。数年前に佐川男子が騒がれましたけど、屠場男子も上背ある方が多いし(とりわけ牛の解体に携わる人は大きい)、テキパキ仕事をこなすし、さっそうとした好青年やイケメンもいましたぞ。彼らのかっこよさ、みたことないひとにお伝えしにくいのは本当に残念。
煽るような動画はやめとこう
実際に屠畜を目の当たりにして、当然ですが、ネットなどでみられる映像とはかなり印象が違いました。一方的にバッシングするとか、過剰演出の動画はもちろんおすすめできません。
『お肉の情報館』で流している屠畜映像は、逆にすごく「そのまま!」なのですが、品川までいく必要があるのと、ちょっと眠たい映像なのが難点。見学のあとにみたらいい復習になるんですけど。
以前から疑問に思っていたこと
以前から、不思議に思っていたことがあります。テレビでとれたての魚がさばかれていると多くのひとが「新鮮でおいしそう」という反応をします。しかし肉の解体は絶対に放送しません。あ、『クレイジージャーニー』ならするかもwww牛の血はよくみるしwww
肉と魚に対してやっていることは同じなのに、抱く感情は違います。肉と魚のなにが違うのでしょう。魚をさばくのはおいしそうで、肉の解体は怖い? グロい? それはなぜ?
魚より動物のほうが、見た目が人間に近いのはあると思いますが、実際は文化や環境による影響が大きいのではないでしょうか。たとえば、祭りとかで家畜を解体するのが普通の国なら、感じ方は違うだろうという意味です。(どうでもいいけどわたしはなにかの理由を文化や環境の影響が強いと考える傾向にあるなぁ)
これらの作品もどうでしょう
芝浦屠場についても、充実した内容です。リアリティあるなーと思ったので、屠場について知りたい方にはおすすめの1冊。
いま読んでます。こちらもおもしろい。
↑これは本です。予告編↓は映画のもの。DVDなどはでていないようで、上映会などでみられます。
映画『ある精肉店のはなし』予告編